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利用者さんとの触れ合い方

利用者さんとの触れ合い方

事務職は、施設の顔

介護事務として利用者さんと接する場合は、利用を検討している方からの問い合わせの対応、入所見学の案内、新しく入所される方の手続きなど、利用者さんへの主な対応は、施設についての案内を行うことです。
私の対応次第で、施設の第一印象が良くも悪くもなりますから、とても緊張します。

そして介護事業所で利用者さんと直接触れ合うのが、介護福祉士などの介護スタッフです。
介護スタッフは利用者さんが少しでも快適に過ごせるように明るく、優しく、目線を合わせ、相手の様子を観察しながらケアを行います。
大勢いる利用者さん一人一人に、それぞれのケアを行うのは並大抵のことではありません。

毎日の観察から、ささいな変化を見抜く

施設を利用される高齢者の体調はさまざまです。
骨粗しょう症で骨が弱っている人、心臓に疾患がある人、歩行が不自由な人など、それぞれの状況に合わせた介護サービスを提供しています。

私は直接介護をする機会はないのですが、施設内で利用者さんとすれ違うときは挨拶をして声を掛けをするようにしており、目が合ったときは必ずにっこりとほほ笑みかけるようにしています。

とてもさ細なふれあいですが、利用者さんの様子や状態をスタッフが目で確認するのは大切なことだと考えています。
毎日、その人の状態を見ることで、わずかの変化にも気づきやすくなるからです。

利用者さんから、今日も会えてうれしい、会うのを楽しみにしていたなどといってもらえると、この仕事をしていて良かったと、こちらの方がうれしくなります。

しかし一方で、利用者さんの状態もさまざまですし、ご家庭の事情も千差万別ですから、うまく意思疎通ができないケースもあります。
たとえば、ご家族から必要以上のサービスを求められた場合、こちらは断らざるを得ないのですが、断られたことに激怒してクレームを言ってこられる場合があります。

これは私の勤務する事業所ではないのですが、近くで訪問介護をしている人から聞いた話です。
高齢者の自宅まで出向いいてさまざまなサポートを行う訪問介護は、高齢者ご本人はもちろんこと、介護をする家族の負担も減るため、ありがたいと感謝されることが多いものです。
しかし、なかには非常に厳しい要求を突きつける利用者さんや、ご家族もいるとのことです。

訪問介護は、まずお宅に着くと、エプロンをします。
すると、利用者さんから、エプロンの色が気に入らない。
ピンクのエプロンをつけてイヤらしい。
白のエプロンにしろとクレームが来たそうです。
ピンクのエプロンは、その訪問看護ステーションの制服ともいえるものだったので、非常に困惑したとのことです。

また、高齢者のご家族が掃除の仕方が悪い、調理の味付けが濃い、調味料がもとに置いていた場所と違った場所に置かれていたなど、細かく注文をつけてくることもあります。
このような細かな注文にも極力対応するのですが、人が人に対して行うサービスですから、サービスに対する認識に違いがあると、クレームになりなやすいため、事前の説明を十分に行って理解してもらうことが大切だと痛感するエピソードです。

誠意が空回りしないために

反対に、ケアを行う側が良かれと思って行っていることが、高齢者ご本人の負担や苦痛になっている場合もあります。

たとえば、機能改善のためのリハビリテーションでの対応が強圧的で、イヤイヤ行っている。
マッサージの力が強すぎて痛いが、我慢している。
食欲がないのに無理やりご飯を食べさせようとする。
家でのんびりしていたいのに、引きこもりになるといって、地域参加を強制されるなどなど……。

介護スタッフが良かれと思って行っていることが、利用者さんにとって負担や苦痛になっているケースも多いのです。
しかし、介護をしてもらっているという意識があるため、利用者さんはなかなか自分の望みを伝えられないという事情があります。

誠意が空回りしないように、相手の気持ちを推し量ることを忘れないことも大切だと考えます。